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『毎週10分 聞いて学ぶ事業経営 2代目・3代目経営者のための TERAKOYA 寺子屋 チャンネル』
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『寺子屋 チャンネル』では、2代目・3代目の若手経営者のために送る【 毎週 10 分 】 聞いて学ぶ事業経営ということで、様々な業界の2代目・3代目経営者様からのリアルなご相談にお答えする形でお届けしています。
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TERAKOYAチャンネル【職場の人間関係】会社批判を陰で行い、周りに悪影響を与える社員への対策法
それでは、今週も2代目社長さんからいただいたご相談から始めましょう。
会社を陰で批判する人材への対処方は?
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今週の相談者:
広告会社経営2代目経営者(33歳男性)の方からの相談です。
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沼上さんのセミナーには何度も出席をさせていただいています。
いつも本音のトークを聞いて、やる気をいただき、日々の経営に生かさせていただいています。
今日は思い切って自分も本音でご相談したいと思い、メールいたしました。
実は、弊社には父の時から働いてくれている、現在営業部長のY氏という幹部がいます。このY氏は、私が実家の事業に戻った時も、私の営業教育担当として毎日同行してもらった人材です。現在51歳なのですが、この営業部長の件で悩んでいます。
というのは、最近Webでの営業やリモートでの営業を取り入れて会社として、組織的な営業の方法や組織構築を進めています。
しかし、この営業部長はなかなかこのやり方を認めませんし、自分は自分のやり方でやると言い張ります。
さらに良くないのは、周りの後輩や部下に対して会社というより、私への批判を陰で言っているようです。
部長曰く、「俺たちはお坊ちゃんのための社畜ではない。自分で自分の道は切り開くべきだろ。」的な話を営業マンたちにしているそうです。
確かに彼の営業成績は、ビッククライアントを常に担当しているので、社内の中では一番ですし、もし今彼が会社を辞めたら売上はかなりダウンしてしまいます。
辞められては困るし、ただ今のまま会社批判や私への影での暴言などを野放しにしていくわけにもいきません。
彼が言うように、個性は大切ですが、会社のやり方を理解してもらう事も重要だと考えています。
また、人事部や総務部の人材には、この2~3年で仕事を少しづつ委任できたのですが、声の大きいこの営業部長が、委任した仕事にもケチをつけてきて、委任された人材は委縮してしまって、委任の量も増えていきません。
こんな恥ずかしい相談で申し訳ないのですが、自分にとっては、かなりこのことが毎日の経営の足かせになってしまっています。
沼上さんであれば、どうされるのか?営業があまり得意でない私に是非、ご意見アドバイスをいただきたいです。よろしくお願いします。
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会社のルールを徹底していますか?
恥ずかしい相談とは思いませんし、この相談は、事業を継がれた経営者が少なからず課題として持っている事ではないでしょうか?
私自身も、父親の会社を清算する機会がありました。その際に(私は)社員ではないですが、お客さんから怒鳴られたり、軋轢、しがらみが多くありました…
でも、全然気にせずやっていました…笑
なので、どこにでもある課題と思って頂ければと思います。
では早速、この方の課題をまとめていきましょう。
今回の課題は、
- 古株である営業部長の、会社批判を止めさせたい
- 属人的営業を、組織的営業に変えていきたい
- 営業部長を何とかしたいが、この部長が辞めると売上が大きくダウンすることが予測出来きるので恐れている
- 営業部長が怖くて周りも何も言えず、萎縮し仕事に支障をきたしている
この様な感じでしょうか。
先ずは、営業部長の件から見ていきましょう。
これは、前回も少しお話をしましたが「ルールに従え」という話です。
いくら野球が上手くて能力が高くても、野球をやるのであれば野球のルールに従わなくてはなりません。
「通常3つのストライクでアウトだけど、イチローだけ能力が高いので4つのストライクでOK」とはなりません。
つまり、この部長も同じです。どれだけ能力が高くても、ゲームに参加するのであればルールを守らせなくてはいけません。
ここでのポイントは「守らせる」ことです。
この経営者の方は、全社員にルールを徹底しているでしょうか。例えば、「会社に意見、提案がある時は、会議で議題として挙げる。」でもいいです。
この営業部長を変えるのではなく、会社のルールを徹底することから始めてみてください。
それでも部長がルールを破るようであれば、この部長には試合に出る権利もないですし、ましてや同じチームでプレーする資格もなくなると思います。
得意でないことは、得意な人の技術を見える化して真似る
そして次は、属人的な営業を止めて、組織的な営業を作る話でした。
この相談者さんは既に、属人的な営業ではこれから通用しなくなり、組織的にやっていくことのメリットが分かっていらっしゃるので、組織的営業を進めていらっしゃると思います。
ですので、部長の事など気にせず、どんどん進めればいいと思います。ただし、この方の相談で営業があまり得意でないとのことでしたが、ココが重要です。
何かと言いますと、営業は科学なので営業に得意・不得意はあまりないと、私は考えています。
この方が、組織的な営業を構築したいという事であれば、「新人でも80点取れる営業組織とやり方」を創るべきだと思います。
もし得意でなければ、得意で売れている方のやり方を見える化することで、真似が出来るようにすれば良いのではないでしょうか?
そして、正にここで、この営業部長を担ぎ出せばいいと思います。
どうして売れるのか?を分解して、誰でもこの部長の真似が出来るようにするのが、営業が科学と言った意味でもあるわけです。
これが正に、営業の見える化です。
決して、辞めていい人材などいないと思います。
新人さんでも80点が取れる営業の仕組みが構築出来れば、属人的ではない営業が出来、売上が予測出来るようになります。
仮にこのやり方に合わない方が出てくる様でしたら、厳しいですが辞めて頂くのも一つの方法だと思います。
是非この営業部長さんにも力をお借りして、構築していけばいいと思います。
ただ万が一、今のまま会社批判や納得がいかないようであれば、行先が違う船に乗っていただいても、意味がないので、そのように告げればいいのではないでしょうか?
そしてその際、短期的に売り上げが落ちたとしても、中長期で見ればかなり前進したことになると思います。
圧倒的リーダーシップと委任のステージ
そして最後の課題は、この部長が怖くて周りも何も言えず、萎縮し仕事に支障をきたしている件でした。
しかしこれは、営業部長の責任ではないです。
これは、経営者自身の問題です。
厳しい言い方になりますが、経営者自身がこの営業部長を苦手だと思っていることが、社員に波及しているように感じます。
間違っていましたら、すみません。
また、 仕事を委任した後、仕事が上手く回っていないことを営業部長さんの責任にしてしまうのではなく、経営者自身の問題として捉えた方がいいと思います。
もう一つ、委任する仕事が増えていかないのは、大きく分けて2つの理由があると思います。
1つは、経営者としてのリーダーシップです。
今お話し差し上げた様に経営者自身が、社員に忖度している図が見えてしまいます。
皆さんは漫画のワンピースをご存知ですか? 主人公のルフィーは自分のやりたい事ばかり進めて、実はリーダーシップがないという説がありますが、私はそう思いません。
圧倒的な自分自身の欲求を表に出すという事は、究極のリーダーシップであり、それでも仲間がついてくるのは、これも圧倒的に仲間を信じているからだと思います。
なので、仲間のゾロやサンジは命がけでリーダーをサポートし自走します。
ですので、この方も是非自分がやりたい事、仕事、創りたい組織を社員に発信し続けてください。
そして、もう一つの委任が進まない理由は、委任にも進めていくステージがありますが、そのステージをきちんと踏めていないからではないでしょうか。
委任は先ず、
- 業務命令をする
- 指導をしながら進める
- 部下が自分で走れるようになったら、やる気が出るように着火する
- 最後に、完全委任に移す
このようなステージがあることを理解して進めていくと、委任も上手くいくと思います。
委任には、部下の「やる気」と「スキル」を見ながら進めていくことが必要です。
今回は、この委任のステージと「やる気」「スキル」の相関図のシートを道具箱に入れて置きますので、是非参考にしてみてくさい。
それではまた。
ここで入手できるツール
4-4 【委任のステージと「やる気」「スキル」の相関図のシート】
「事業経営」×「人生経営」で本当にやりたい事を見つけ成功と幸せを両立する
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2006年独立後、日本で経営コンサルティング会社を設立。その後海外への事業展開を視野に入れて活動し、2009年に香港、2010年には上海でもコンサルティング会社、事業会社を設立。日本と中国を行き来しながらコンサルティング事業、自社事業を手掛ける。