このページでは、YouTubeチャンネル
『毎週10分 聞いて学ぶ事業経営 2代目・3代目経営者のための TERAKOYA 寺子屋 チャンネル』
をもとに連載しています。
『寺子屋 チャンネル』では、2代目・3代目の若手経営者のために送る【 毎週 10 分 】 聞いて学ぶ事業経営ということで、様々な業界の2代目・3代目経営者様からのリアルなご相談にお答えする形でお届けしています。
これをお聞きの若手経営者である皆さんが、必要な意思決定をしていくための軸とヒントを得ていただけたなら、とても嬉しいです。
YouTubeでは、相方ケビンとの掛け合いもありとても聞きやすくなっていますので、ぜひ動画でもご利用ください。
お仕事の合間の移動中など、ながら聞きに最適です!
TERAKOYAチャンネル
【既存事業のテコ入れも新規事業のアイデアも経営者の◯◯◯が反映されていないと長く続かない!】
それでは、今週も2代目社長さんからいただいたご相談から始めましょう。
既存事業に代わる新規事業を創りたい!
===============
今週の相談者:
建築関係コンプレッサー事業会社経営 2代目経営者(32歳男性)
===============
の方からのご相談です。
はじめて、メールさせていただきます。
大阪で先生の話を聞く機会があり、その時、複数の事業を同時に経営している話が印象に残っていたので、今回思い切って相談をします。
私はまだ完全に社長の父から事業を引き継いでいるのではなく、専務として、既に5年今の仕事をしています。
おそらく2~3年後には代表になると思います。
それに合わせて、自分の事業を創っていかないと、今の事業では生き残っていけないと感じ、毎日、新しいビジネスを考えています。
先生は以前のセミナーで、5年先の流行りは分からないが、5年先の課題は大体予測がつくと仰られていました。
私もそう思い、これからは電気自動車関係のビジネスをしたいと考えています。
今の仕事とはあまり、被るところはないのですが、これからの課題、自分の好きな事を考えると自動車関係が頭から離れなくなってきました。
実はこの1~2年、現在の仕事が激減しています。
環境変化のせいもあるとは思いますが、これでは私が引き継ぐ2~3年後には会社が倒産してしまうのではないかと心配になります。
新規事業の事を父に話をするのですが、
父は「今の仕事をしっかりやれ!」
が口癖で新規事業の話をする機会も持てません。
どうやって、電気自動車関連の事業を創るか?その後どうやって、進めていくのか?
この状況では、1年で新規事業を軌道に乗せなくてはならないと焦ってしまいます。
先生はいくつもの事業を海外でも作られていると思いますが、私のような立場の人間が、どのように進めていくのが良いと思われますか?
是非、アドバイスください。よろしくお願いします。
===============
オリジナルの技術はあるか?
電気自動車関連のビジネスって?具体的にどんなものなのでしょうか?
現在の事業が、コンプレッサー関連のようなので、発電機械のようなものを考えていらっしゃるのでしょうか?
今回もまた難しい相談ですね。
コンサルタントに相談したくなります・・・笑
まずは、いつものように頂いたご相談を整理していきましょう。
今回のご相談内容は2つです。
- 既存事業の将来を考えると衰退していきそうなので、新規事業として電気自動車関係の仕事に参入したい
- その事業を1年で作り上げたい ですね
まず、なぜ電気自動車関連の事業をスタートさせたいか?です。
この方の好きなこと、と書いてありましたが、詳しい詳細までは分かりません。
ただ今、自動車業界は激変の時を迎えているので、チャンスは確かにあると思います。
ただ、あのトヨタでさえ、苦戦が予想されています。
大きなテクノロジーの波として、「電気自動車への移行」と「自動運転の実用化」が進んでいます。
この激動の中で、この方の会社が他社にはない技術をお持ちであれば良いのですが・・・
単純に、異業種参入を進めることは基本的にやめた方が良いと私は思っています。
リソースや、ノウハウがしっかり見える化されていて、この自動車業界に、
必要不可欠な技術とかであれば別ですが、非常に難しいです。
もしオリジナルの技術があるのであれば、まずは既存事業を変革して軌道に乗せた方が、
生き残り策としては良いのではないでしょうか?
このような激変する業界では、技術革新とのスピードの闘いになり、資金が豊富な企業が更に強くなります。
また、中小が狙うべきニッチな市場は、近年少なくなってきています。
もし参入するのであれば、現在の自社のリソースや、ノウハウを使って新たにレアなマーケットを創ることが重要になります。
なぜ?この新規事業をやるのか?ストーリーはありますか?
そして、ココが大切なのですが、好きなことを事業にしていくことは大切です。
しかし、そこに貴方がやらなくてはいけない理由、ストーリーはあるでしょうか?
好きだからやるは素晴しい事です。しかし、事業として行うのであれば、経営者としてしっかりとした、理由が必要です。
実は、このご相談をお聞きして私はお父様が仰っている事も、もっともだと思っています。
いつもお話し致しますが、新規事業を創るのは準備が必要です。
一番大切な準備は、既存事業を軌道に乗せて、部下に委任することです。
社長は、その委任した(ことで空いた)時間で新しい事業を創らなくてはなりません。
この方は、今の仕事を委任出来るようになっているでしょうか?
万が一、委任出来るようになっていないのであれば、お父様が仰るように、まずは今の事業を軌道に乗せてください。
そして、委任できるように準備しながら、新規事業も進めるのが社長の仕事であると思います。
私も車好きなので、中国でテスラに試乗したのですが、かなりショッキングでした。
「iPhoneが、自動車になったようだ」と誰かが話していましたが、少しわかります。
こういうことは、やはりワクワクするので、こういった事業と関わりたいと思いますよね。
実は私は中国で免許を取って、中国で運転もしていました。
今はもう運転しないので、更新しませんが・・・
自分の好きなこと、やりたい事を明確にするのは本当に大切です。
ただし、経営者であれば、好きなことと事業を作る事をしっかり整理して進めてください。
企業の寿命と事業の寿命は切り離す
さて、もう一つの課題です。
新規事業を1年で作り上げたい、というお話でした。
ところで、新規事業ってどのくらいで 黒字化してくると思いますか?
おそらく2~3年ではないでしょうか。色んな新規事業がありますから、一概には言えません。
ただ、新規事業の黒字化には数年掛かると考えておいた方がいいです。
逆に2~3年で黒字化できる事業は成功と言えますね。
ただ、この方が仰るように、 既存事業がもし衰退していくのであれば、早めに新規事業を創り出して、軌道に乗せたいと考えるのは当たり前です。
ましてや、新しいアイデアはもう1年後には、他社が実現していたり、古くなってしまうのが現状でもあります。
なので、クイックスタートをして、まずはやってみる事は重要です。
私はこのやってみるステージを「芽を出すステージ」とし、「新規立ち上げチーム」を結成して3ヶ月を目途に立ち上げをします。
そして、その後に今度は「運営チーム」で、芽が出た事業を果実がなるように育てていきます。
ここで重要なのは、目が出るかどうかわからない種の状態のアイデアに、多くの時間を使わないという事です。
具体的には、分析などは、3Cと4Pぐらいしかやりません。
その上で、 まずやってみます。
そして、ここが重要ですが、必ず「撤退ルール」を決めておきます。
事業をやり始めると、なかなか撤退しにくくなるからです。
我慢して、最後まで水を張った洗面器から顔を上げない人間が勝つ・・・と、
有名な経営者が仰られていましたが、私はこの5年ぐらいは、すぐに顔を上げるようにしています。
新規事業を進める上で何が正しいか?という事はありません。
自社に合ったやり方で進めていくことが、重要です。
ただし、だからこそ新規事業を進める上で感情に流されないように、ステージと、そのステージごとのルールを決めることが大切です。
私は新規事業を進める上で、一番大切にしていることがあります。
それは、企業の寿命と事業の寿命を切り離すという意識を持つことです。
会社は潰してはいけません。
しかし、事業はどんどん潰す・・・
現在企業が生き残るには、1つの事業に頼り切るのではなく、常に新しい事業を創り出して、企業を存続させることが必要だと考えています。
今日は先ほどお話ししました「新規事業を創る上でのステージとルールの作り方」をまとめたシートを道具箱に入れておきます。
是非参考にしてみてください。
それではまた。
5-2 企業の◯◯と事業の◯◯を切り離せ!【新規事業を創るうえでのステージとルールの作り方】
「事業経営」×「人生経営」で本当にやりたい事を見つけ成功と幸せを両立する
関連記事
2006年独立後、日本で経営コンサルティング会社を設立。その後海外への事業展開を視野に入れて活動し、2009年に香港、2010年には上海でもコンサルティング会社、事業会社を設立。日本と中国を行き来しながらコンサルティング事業、自社事業を手掛ける。