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『毎週10分 聞いて学ぶ事業経営 2代目・3代目経営者のための TERAKOYA 寺子屋 チャンネル』
をもとに連載しています。
『寺子屋 チャンネル』では、2代目・3代目の若手経営者のために送る【 毎週 10 分 】 聞いて学ぶ事業経営ということで、様々な業界の2代目・3代目経営者様からのリアルなご相談にお答えする形でお届けしています。
これをお聞きの若手経営者である皆さんが、必要な意思決定をしていくための軸とヒントを得ていただけたなら、とても嬉しいです。
YouTubeでは、相方ケビンとの掛け合いもありとても聞きやすくなっていますので、ぜひ動画でもご利用ください。
お仕事の合間の移動中など、ながら聞きに最適です!
TERAKOYAチャンネル【経営の“仕組み化”編】
それでは、今週も3代目社長さんからいただいたご相談から始めましょう。
経営者として、やるべきことの優先順位とは?
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今週の相談者:
静岡県
住宅販売関係3代目経営者(40歳女性)の方からの相談です。
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先生こんにちは。
私は地元で祖父から続く住宅販売の仕事をしているものです。私の父親の代から積極的に土地の開発をして、一戸建て住宅を販売してきました。
しかしここ2~3年販売戸数が減少していて、一戸建て以外も手掛けるように進めていますが、ライバル会社も多く、中々思うようには売り上げが伸びていない現状です。
地元でも人口減が少しずつ進み、高齢化も相まってリアルに日本の課題を感じています。
また、このような状況で新しいマーケットの開拓も必要なのですが、正直、営業マンが育っておらずその時間が取れていません。
私以外に現在4名の営業マンがいますが、売上の60%を私自身が作っているような状況です。
販売、教育、新規開拓とやることが多すぎて、全てが中途半端になってしまっています。
教育に時間を取ると、自分の営業時間がなくなるし、新規開拓もままなりません。
しかし今のままでは先細りが確実に見えています。
何から手を付けていいのかわからず、毎日が忙しく過ぎていくだけという感じになってしまっています。
こんな時はどうやって進めていけばいいのか、アドバイスをいただけましたら幸いです。
お忙しいとは思いますがよろしくお願いします。
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営業の仕組化と購買フローを意識
忙しいところすみませんなんて… 忙しくないですよ。笑
忙しくならないようにやっていますので。笑
気にせずご相談ください。
しかし、すごいですね!売り上げの6割を自分が叩き出しているなんて、まさにTOPセールスですね!
では早速、今回もこの方の課題を整理していきましょう。
先ずは何から手を付けたらいいか?という事でしたが、結論から言いますと全部やるべきです。
そして今回の課題は3つあったと思います。
① 社員(営業マン)を育てて、売れるようにしたい
② 一戸建以外の住宅も売りたい
③ 新しいマーケットや事業に打って出たい
ということでしたね。
先ず、この方は売上の60%も上げている方なので、教育から話を始めていきたいと思います。
この社長さんは、なぜ売れるのでしょうか?
教育をする時間がないと書かれていましたが、この社長さんのやり方を真似させればいいと思います。
よくあるのですが、経営者自身が、自分がどうして売れるかを可視化できていないことが多いです。
ただ「自分を真似ろ」と言っても従業員にはわからないので、営業する前、営業する時、営業した後など、先ずは営業のフローを作ります。
次に、その各フローで大切なポイント、ヒヤリング項目、伝えるべきことなどを明確に理解できるようにして、徹底的に真似させることが重要です。
そうして、社長はそのフローをしっかり真似できているかをチェックするようにします。
初めは上手くいかないこともありますが、営業をしてきた従業員からフィードバックを貰い、社長が出来ている事と、出来ていないところをしっかり管理し、教育していくことで、短期間で売れる営業マンが育ってきます。
そうなれば、社長にも少し時間が出来てくるのではないでしょうか?
ここでポイントなのは、営業フローを真似できるようになったら、今度は営業フローではなく、クライアントが商品を買う時の心理変化のフローに着手してください。
これを購買フローと言いますが、この購買フローを意識して営業フローと並行して言語化することをお勧めします。
お客さんの気持ちがわかると更に売れるようになりますし、更に自分で考えて行動できるようになります。
また、最近ではWebで集客し販売する会社が増えています。
このWebマーケティングでは、クライアントの心理をしっかり理解しないとWeb上で販売することは出来ません。
現在すでにWeb上での販売をされているかもしれませんが、コンバージョン率を上げるためにも是非、整理してみてください
自らレア市場を創る
そして次の課題は、一戸建て以外の住宅も売りたいということでしたね。
この方の住宅自体を拝見していないので、何が売りの住宅なのかを理解した上で具体的なお話が出来ませんが、今までは、地元で土地の開発をすれば売れていたのが、現在は売れなくなってきた… ということでした。
これは住宅だけでなく、多くの商品がこのような状況になっていきます。
この方もおっしゃっているように、日本のマーケット自体がシュリンクしてきていますので、パイの奪い合いになりますし、買う方も本当に必要でなければ買わなくなってきます。
ではどうやって、生き残るのか?
これには2つポイントがあると思います。まずは、
①ニッチ市場はもう探しても少ないしライバルが多い。自らレア市場を創れ
という事です。
ニッチな「100年保証の住宅」や「耐熱性が優れた家」など、多くのニッチ市場が開発され販売されてきました。なので、これからニッチを見つけることはなかなか難しいと思います。
そこで自社の強み、リソースを整理して新しいレア市場を創っていくことをお勧めします。
弊社の事例で恐縮ですが、例えば中国で人材ビジネスを始める時に大手や他社でやっていないレアな市場を創り、事業を始めました。
それは「上海の中国人で日本語を話せる人材を、上海に進出している日系企業に絞って紹介する事業」です。
非常に狭い範囲ですが、クライアントの悩み、人材の悩みが明確に浮き彫りになるため、他社にはできないマッチングサービスが出来ていました。
まさにこれは自社でレアな市場を創った例だと思います。
誰にでも売れるものを売るのではなく、あなたが販売している商品を、頭を下げてでも欲しいというクライアントにセグメントして、是非レア市場を創ってみてください。
売れる商品にはストーリーがある
そして最後に、最近は良いものを作れば売れる時代ではなくなってきていますので、
②ストーリー性で売る
と言う事をお伝えしたいと思います。
ストーリー性で売るとは簡単に言えば、なぜこのビジネスをやっているのか?
商品を販売しているか?をクライアントに明確に伝えることで、他社ではなく、その商品をあなたから買って頂くようにすることです。
まずは自分たちが「どこに売るか」をしっかり決めていかなければなりません。
例えば、販売商材を着物で説明したいと思います。
あなたはA商事の人間です。
あまり着物に慣れ親しみのないヨーロッパ在住のジョンソン婦人に、競合であるB商事に代わって
・京都の一点ものの着物
・一生メンテナンス付き
この2点を満たしA商事は着物を販売します。
このように、「ヨーロッパにメンテナンス付きで着物を売っている」と、自社の商品を小学校3年生でも理解できる説明を準備しておくことが、今後必要になってくると思います。
私は最近、扇風機と電子レンジを買いました。そしてキャンプのランタンも買いました。
これらは全てBALMUDAというブランドの製品です。
どこにでも売っている扇風機や電子レンジですが、BALMUDAの商品全てにストーリーがあります。
非常に参考になりますので、HPで参考にしてみてください。
今日は道具箱に先ほど話しました「クライアントの購買心理と営業フローの関係図」を入れておきます。
参考にしてください。
それではまた。
ここで入手できるツール
3-3 セールス・マーケティング戦略 (営業を○○せよ) 【クライアントの購買心理と営業フローの関係図】
「事業経営」×「人生経営」で本当にやりたい事を見つけ成功と幸せを両立する
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2006年独立後、日本で経営コンサルティング会社を設立。その後海外への事業展開を視野に入れて活動し、2009年に香港、2010年には上海でもコンサルティング会社、事業会社を設立。日本と中国を行き来しながらコンサルティング事業、自社事業を手掛ける。