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『毎週10分 聞いて学ぶ事業経営 2代目・3代目経営者のための TERAKOYA 寺子屋 チャンネル』
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『寺子屋 チャンネル』では、2代目・3代目の若手経営者のために送る【 毎週 10 分 】 聞いて学ぶ事業経営ということで、様々な業界の2代目・3代目経営者様からのリアルなご相談にお答えする形でお届けしています。
これをお聞きの若手経営者である皆さんが、必要な意思決定をしていくための軸とヒントを得ていただけたなら、とても嬉しいです。
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TERAKOYAチャンネル【中小企業がリーダーを育てるために大切なポイントとは?】
それでは、今週も3代目社長さんからいただいたご相談から始めましょう。
仕事が委任出来ない経営者
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今週の相談者:
印刷会社3代目経営者(31歳男性)の方からの相談です。
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いつもためになるお話をありがとうございます。
私は祖父の代から続いている印刷会社を経営しています。私で三代目になりますが、既に父は他界をしているため、私が会社を経営しています。
父はあまり私には口うるさくもなく、なんとなく「やっとけ」と、素っ気なく丸投げ状態で仕事を振られていました。
正直、もう少し丁寧に教えてくれていればと思うのですが、私が実家の仕事に戻って3年目で他界してしまったため、その後は自分で何とか切り盛りしながらやってきました。
前職でWeb系の仕事をしていたおかげで、会社の方は紙の媒体からWebに上手く転換出来たことが幸いし、従業員も現在30名を超えています。
しかし、業界的にも技術革新が進んでいて、単価が下がり、利益が残らない体質が続いてしまっています。なんとか新しいことに挑戦しつつも、既存の仕事のトラブルや課題が絶えません。
私は父から自分への仕事委任の教訓を生かし、従業員に丁寧な教育を心掛けてきました。
その為か、教育してくれるのが当たり前に思っているのか、指示待ち人間が多く、なかなか自分の仕事が委任出来ていないのが現実です。
2年前、先生のセミナーで、中国で中国人のスタッフに仕事を委任した話を聞きました。
自分の仕事を委任したいとは、考えているのですが、具体的に委任の方法がしっくり来ていないのと、委任した後、現場がブラックボックス化するのが正直怖いと感じています。
中国での委任の話を含め、具体的な委任方法や、その後の管理方法を教えていたただきたいです。
よろしくお願いします。
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委任するには『共通言語』を揃える
中国の話はここでは少し過激なので、また今度にしましょう(笑)
しかし、この方のお父様は立派な方ですね。
とかく自分の息子には、細かく口を出してしまいがちですが、「やっとけ!」って、かっこいいと思います。THE昭和って感じですね。
今回はこのお父様が、すでに答えを伝えてらっしゃるのではないでしょうか?
では早速、いつもの様に課題を整理していきましょう。
今回の悩み、課題は
① 過保護に社員を育てたため、指示待ち状態。その為に仕事委任が出来ない
② 実際委任を考えているが、具体的な委任方法がわからない
③ 委任すると見えなくなることが多くなり、正直怖い
という3点でしょうか。
まず指示待ち社員さんは、そもそもどうやって動いたらいいのか?がわからなければ動けません。
その人たちに、いきなり自分で考えて動けと言っても無理なので、最低限の社内のルールや、決まりを作り、やらせる事が必要です。
ルールには2つあります。
「能力が要らないルール」と「能力を必要とするルール」です。
能力が要らないルールとは、例えば、「会議の1日前には、その会議のアジェンダを参加者に送り、目的とゴールを共有する事」など、やるか、やらないかのルールです。
これら能力のいらないルールを、会社の重要行動として5つぐらいを徹底してやらせます。
これは言葉を選ばずに言えば躾(しつけ)です。まだ子供のような指示待ち社員には、ここから始めた方がいいと思います。
そのうえで、委任できる、基礎的体力を付けさせることが、重要ではないでしょうか。
そして、次に能力が必要なルールです。具体的には売上目標などで、目的やポイント、やり方を共有して進めます。
ここで初めて委任と、社員の自走がスタートします。
ここでのポイントは、共通の言語を揃えるという事です。私はこの事をGPSと言っています。
Gは、ゴール・この目的は何か?ということ
Pは、ポイント・これを進めるにあたっての重要ポイント3つ合わせる
Sは、ストーリーで・どのように進めるかということ
このGPSを語れるように共通言語として行っています。
このように、委任するにしても共通のGPSがあれば、方向や、やり方がずれることが少なくなります。
なので、委任の具体的方法の一つとして、このGPSからスタートすることがいいと思います。
委任と丸投げは違う
そして次が、委任すると見えなくなる事が多くなり、怖いという事でした。
確かに、委任することで見えなくなる事は多くなりますが、逆を言えば、自分が細かいところは見ないようにして、部下に任せるのが委任です。
ただし、委任ではなく全てを丸投げしてしまうと、進捗状況も、責任の所在さえ分からなくなってしまいます。
ですので、ここでもまた先ほどの話に戻るのですが、能力の要らないルール、例えば「必ず、進捗状況を、1週間ごとに報告する」などのルールと、GPSを常に意識して、仕事を進めさせることが重要です。
つまり、丸投げでなく、管理と伴走が必要だという事です。
スコアを付けることで目標達成の勝率がUP
そして、もう一つお伝えしたいのが、スコアを付けることを意識してみると言うことです。スコアとは数値化、点数のことです。
先ほどの、GPSのSストーリーを描く時に数字で、進捗がわかるようにすることが重要です。
つまり途中途中で、スコア(数値による状況)がわかるようにするという事です。
部下には何を期待するのか?をはっきりさせなくてはなりません。
例えば、「なるはやで…」はダメです。
具体的に、「今週の木曜日、10:00までに」と、数字で分かるようにして伝えるようにしてください。
そして、部下から報告させる際には、進捗状況を測定させ「ゴール100点だとすると、今60点まで来ています。」のような内容にすることで、意思疎通が正確になってきます。
更に、委任する側である経営者の皆さんはフィードバックのルールを決めて、一貫性を持たせます。
一貫性がわかると、委任がしやすくなります。
そして、見えなくなるという恐怖は少なくなるのではないでしょうか。
ここでポイントですが、フィードバックさせる時には自ら取りに行くのではなく、必ず部下からさせるということが重要です。
このスコアを付けることで更に良いことは、的を射た意味のある測定方法が分かり出すと、目標達成の方法、つまりGPSのSストーリーが研ぎ澄まされ、勝ち方がわかるようになってくる部下が増えてきます。
例えば、野球などで8回まで1点リードして、抑えのエースに最後繋ぐことで、常に勝てる試合を増やすなど、勝ち方の方程式が出来るということと同じです。
勝ちパターンをいくつか出来るようになると、目標達成の勝率が抜群に高くなります。これは、営業などの職種でも同じことです。
是非、スコアを意識して会社内に勝ちパターンを作り、委任を進めてみてください。
今回は、GPSのコツをまとめたシートを道具箱に入れておきますので、参考にしてみてください。
それではまた。
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2006年独立後、日本で経営コンサルティング会社を設立。その後海外への事業展開を視野に入れて活動し、2009年に香港、2010年には上海でもコンサルティング会社、事業会社を設立。日本と中国を行き来しながらコンサルティング事業、自社事業を手掛ける。