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『毎週10分 聞いて学ぶ事業経営 2代目・3代目経営者のための TERAKOYA 寺子屋 チャンネル』
をもとに連載しています。
『寺子屋 チャンネル』では、2代目・3代目の若手経営者のために送る【 毎週 10 分 】 聞いて学ぶ事業経営ということで、様々な業界の2代目・3代目経営者様からのリアルなご相談にお答えする形でお届けしています。
これをお聞きの若手経営者である皆さんが、必要な意思決定をしていくための軸とヒントを得ていただけたなら、とても嬉しいです。
YouTubeでは、相方ケビンとの掛け合いもありとても聞きやすくなっていますので、ぜひ動画でもご利用ください。
お仕事の合間の移動中など、ながら聞きに最適です!
TERAKOYAチャンネル【経営の“見える化”編】
それでは、今週も3代目社長さんからいただいたご相談から始めましょう。
よくわからない不安との向き合い方
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今週の相談者:
東京都江戸川区
クリーニング業界3代目経営者(35歳男性)の方からの相談です。
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先日、地元の経営者同士の集まりがありました。
なかなかこのような時期なので、面と向かって話をすることがなかったのですが、久しぶりに知っている経営者と話が出来て良かったです。
ですが皆、「この先、本当にやばい時代が来る」と真剣な顔で話をする経営者が多く、中には毎日眠れなくて、かなり痩せてげっそりしている先輩もいました。
正直、私は危機を感じながらも、なんかピンと来ていないというのが本音です…
もっと言うと、皆に話を合わせている自分がいたりします。
確かに売り上げは減っていますので、新しい何かを始めなくてはいけないと感じてはいるものの、何から手を付ければいいかわからないし…
ましてや新規事業なんてやったことがないので、やることに大きな不安があります。
「茹でカエルになってしまうのが怖い」と仲間の経営者は言っていましたが、既に茹でガエル状態であることに気づいていないのかも…
と集まりの後、不安ばかりが込み上げてきます。
かといって、新規事業なんて難しいし…
失敗したら… まわりや父から何を言われるか…
こんな時はどうすればいいのでしょうか?
先生のセミナーに参加させていただいたこともあり、思い切って相談のメールを送らせていただきました。
率直なご意見、ご指導をお願いします。
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不安を言語化して課題に変換
茹でガエルって本当に死んじゃうのでしょうか? (笑)
先の事を考えてすべての人が行動できるのであればいいのですが、このように考えてしまうのは普通ではないでしょうか。
ただ、経営者は普通ではいけないという事も付け加えておきたいと思います。
では、どうしたらいいのでしょうか。
経営というのは、いろんな事柄が複雑に絡み合って課題化しますので、相談事がごちゃ混ぜな感じがしますが、これが本音だと思います。
なので、必ず今、解決しなくてはならない課題が何か?を言語化していくことが重要ではないかと思います。
この方の課題、解決したい事は
① この激動期に何が起きているのかをなんとなくではなく、明確に知りたい
② そしてそれに対して何を準備して、どんな行動をスタートすればいいのか知りたい
ということかと思います。
先ず、私のような一般人はステーブジョブスではないので、3年先の流行るものなどは分かりません。
ただ、3年先に起こりえる壁、障害は予見出来ると思います。
まずは近い将来市場はどうなっていくのか、中小企業に何が起ころうとしているかを明確に知ることは大切です。
やるべきことは各会社、事業によって全く違うと思いますので、ここでは先ず、市場が今どうなっていて、今後どうなっていくのかを言語化していければいいと思います。
クイックスタート&クイックストップ
よく子供は暗い部屋でカーテンが揺れていたりすると、ものすごく怖がります。
しかしカーテンが揺れている原因は、窓が開いていて風が入ってきているから、と分かれば恐怖は消えていきます。
よくわからない不安は「言語化して見えるようにする」ことで、「不安の正体がはっきりする」ので、それが解決に繋がることが多いです。
今一般的に言われている将来の日本マーケットの不安を言語化すると
① 人口減でマーケットが縮小していく
② 労働人口の減少でモノが売れない時代がやってくる
③ 日本の国力低下で円安になり原材料などが高騰し利益率を圧迫する
こういった事を知見がある方々の書籍や講演では語られています。
皆さんもこれらに関しては異論もないし、もっとだと納得されると思います。
これが言語化できれば、それに対処することは可能になりますので不安は消えていきます。
しかしなぜか、対岸の火事的な意識になってしまい、まあ、まだいいか… と対処する行動を取れないことが多いのも事実です。
今回の相談者さんの言葉をお借りすれば、茹でガエル状態で身動きが取れずに、あっという間に危機がやってくるという事です。
マーケットがシュリンクすると言われても、「何がどのくらい小さくなるのか」が見えていないのが現実ではないでしょうか。
市場が変化しているといっても、「何が変化しているのかよく分からない」ということがあると思います。
是非これらも言語化してみましょう。
先ず市場が変化するとは、どうなっているのかというと、市場はスピードが速くなっているという事です。
スピードが速くなるとどうなるのでしょうか?
簡単に言えば、時間がないという事です。考えている間に時代はどんどん変わっていきます。
結果、立派な計画を立てても。時代遅れがすぐ来てしまうという事です。
なので、簡単な計画を立てたらクイックスタートして、ダメならクイックストップする。
そんな行動が必要になってくるのではないでしょうか。
市場が不透明とは具体的になにが起こるのか?
もう一つ、市場の変化として、先行きが不透明とも言われます。
これは中小企業においては非常に不明確さが増してくると思います。
中小企業は大手企業からの受託の仕事が多いと思いますが、実際大手企業も行き先が不透明で迷っているので、その反動が中小企業に圧し掛かっているという事です。
もう少し具体的に言えば、今までの様に大手企業からの仕事が大量に降りてくるのではなく、大手企業も迷いながら中小企業に仕事を発注するという事が続くと予想されます。
中小企業にとっては常に不透明な仕事の受注が増える、つまりは人材のリソース配分などが非常に難しくなる事が予測出来るのです。
このように、不安を言語化して、自社の事業にどんな影響が及ぶのかを考えることによって不安が課題に変わり、ついてはやるべき具体的行動が見えてくるのではないでしょうか。
予測して、当たるとか当たらないとかではなく、実際に予見した後に現状とのギャップがどれくらいあるのかを知っておき、それらをしっかり言語化することで対策が打てると思います。
是非、自社に関係する経済予測、予見を日々行う癖をつけてください。
今回は経済、政治などの予測年表シートを記入例と一緒に道具箱に入れておきますので、よかったら参考にしてみてください。
それではまた。
ここで入手できるツール
2-1 今の不安を3年先の課題に変えるための【経済予測年表シート&シート記入例】
「事業経営」×「人生経営」で本当にやりたい事を見つけ成功と幸せを両立する
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2006年独立後、日本で経営コンサルティング会社を設立。その後海外への事業展開を視野に入れて活動し、2009年に香港、2010年には上海でもコンサルティング会社、事業会社を設立。日本と中国を行き来しながらコンサルティング事業、自社事業を手掛ける。