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『毎週10分 聞いて学ぶ事業経営 2代目・3代目経営者のための TERAKOYA 寺子屋 チャンネル』
をもとに連載しています。
『寺子屋 チャンネル』では、2代目・3代目の若手経営者のために送る【 毎週 10 分 】 聞いて学ぶ事業経営ということで、様々な業界の2代目・3代目経営者様からのリアルなご相談にお答えする形でお届けしています。
これをお聞きの若手経営者である皆さんが、必要な意思決定をしていくための軸とヒントを得ていただけたなら、とても嬉しいです。
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TERAKOYAチャンネル【経営の“見える化”編】
それでは、今週も3代目社長さんからいただいたご相談から始めましょう。
生き残るための経営方法とは?
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今週の相談者:
静岡県沼津市
不動産関係2代目経営者(31歳男性)の方からの相談です。
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先日、久しぶりに父親が会社に来て、
「もう少し戦略的に経営を進めろ」
と、いきなり言ってきました。
詳しく聞いていくと、父親の昔からの友人である経営者の息子さんが事業を継いで、事業の拡大をして上手く言っていると自慢話を聞いてきたようです。
その父の友人経営者が言う事には、「息子は自分のやり方と違って、かなり戦略的に経営をしている、正直驚いた」と嬉しそうに言われたそうです。
「戦略的にって、具体的にどうゆう事なんだよ」と父に聞くと、「よく考えることだ!」ということしか答えは返ってきませんでした。
先月行った経営に関するセミナーでも『戦略』『戦略的』という言葉が多く出ていましたが、具体的に何から始めて、どのように進めればよいのかわかりません。
そして戦略を作るという意味もよくわかりません。
父親が言うように、よく考えて経営をすることは大切だと思いますが、今の時代は考える前にやってみることが大切だとも思っています。
中小企業にも戦略や戦術が必要なことは分かりますが、沼上さんはどう思われますか?
目的や、やり方などを教えていただけると助かります。
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新規事業と既存事業は進め方が違う
戦略に関するご相談はすごく多いです。
正直戦略はストーリーなので、立てても立てなくても、今の時代どちらでもいいのではないかとも思いますが…(笑)
では先ず、この方が求めていらっしゃる事を整理してきたいと思います。
①戦略の目的をきちんと知りたい
②戦略の作り方を知りたい
と言う事ですね。
前提として以前お話ししているように、経営はピラミッド型になっていて
上から理念があります、これはこの事業をなぜやるのか(WHY)です。
そして次にビジョン、どこへ向かってやるのかということです。
そして戦略、どうやってやるのかが戦略です。(HOW)
なので「戦略」とは「ビジョン」という目標を、どのようにして達成するかということです。
つまり、目標達成までの道のりであり、あらすじ、ストーリーのことです。
「戦略を立てる」ということは、「目標達成までのストーリーを描く」ことと同じです。
そして大切なのは「新規事業」においては、この方がおっしゃるように、先ずはやってみて多くの小さな失敗を重ねて創り出していくことが大切です。
しかし今回は「既存事業」のお話ですので、既存事業に関しては今までの道筋、ストーリーがあるので、それを元に戦略を作り、予測を立てながら進むことが必要ではないかと私は思います。
つまり「新規事業」と「既存事業」は違う進め方をした方が良いと、私は思います。
「現状・理想・ギャップ」+「分析」から導き出す
戦略は道筋です。では何から始めるのか?
①現状分析をする
例えば旅行と一緒です。地図を見て目的地に向かう場合、何から始めますか?
まずは、今、自分がどこにいるかが分からないと出発できません。
ですから、現在地をしっかり確認することから始めます。
②行先を決め、目的地をしっかり決める
結構目的地を決めてない方がいらっしゃいます。
旅行で例えると、なんとなく、東北の方向へ行く… では行く先は仙台なのか、山形なのかわかりません。
行く先をここでは「理想」と呼びましょう。
要するに、目的地という理想が明確でないとスタート切れないということです。
③「理想という目的地」と「現在地という現状」のギャップをはっきりさせる
これを課題と呼んでいます。
その3つをしっかりやった上で、現在地から理想地へ行くためのルート、ストーリーを決めます。これが戦略です。
そして戦略として、Aルート、Bルートなどと考えていきます。
そして①現状②理想③ギャップを明確にするために行われるのが「分析」です。
引き継いだ事業についてはこのようにして
「分析をして」⇒「ギャップ改善して」⇒「理想に近づける、変革を起こす」
ことから始めてみてはいかがでしょうか。
分析をやらない方が多いです。
中小企業なので分析をやらなくてもいいではないかと言われますが、実際には逆で、中小企業ほど分析をしっかり行った方がいいと思います。
分析をする際の注意点とは?
この分析についての注意点が2つあります。
① 大きな視野を持つ
これはよく言われますが、例えばひとつの森を見るということをやる際には、森全体を鳥の目線で空から見て、一本の木を見て、木の土壌を見て、小さな虫の目線に絞っていきます。
段々と視野を狭めていくやり方です。
②的-まと(目標/理想)が動く
現在の市場の様に変化が激しい中では、理想という目的地が変化しているという事です。
これは、弓を放つ的が動いているということです。いわゆる市場の変化という事です。
大手のTOYOTA自動車でさえ、この的が
「車の製造をするという的」から⇒「自動車自体をiPhoneのような的へ」
と、させなくては生き残れなくなってきています。
中小企業は更に、自らが変化しないと生き残れないのではないでしょうか?
そのためにも既存事業の戦略は重要ですし、分析をしっかりして、向かうべき方向を定めていく事が求められます。
あと一番大切なことは、「戦略」という字を思い出してほしいのですが。
戦略とは「何をしないか」を決めることです。
戦う事を省略するということです。
今日お話ししました分析の方法は、非常に多くありますのでここでは説明はしませんが、具体的にどんな時にどんな分析が必要かをまとめた「分析の具体方法」を、道具箱に入れておきます。
よかったら見てみてください。
それではまた。
ここで入手できるツール
2-3 戦略を作り上げるために必要な【各ステージの分析方法Map】
「事業経営」×「人生経営」で本当にやりたい事を見つけ成功と幸せを両立する
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2006年独立後、日本で経営コンサルティング会社を設立。その後海外への事業展開を視野に入れて活動し、2009年に香港、2010年には上海でもコンサルティング会社、事業会社を設立。日本と中国を行き来しながらコンサルティング事業、自社事業を手掛ける。